中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

3月16日&17日に最新の科学・技術を青少年にアピールする「科学・技術フェスタ」に出展! 17日は、再生医療の最先端で活躍する研究者によるパネルディスカッションを開催

映画「ブレードランナー」が出発点 東京女子医科大学 大学院 先端生命医科学系専攻 大和雅之教授。

昆虫採集、プラモづくり、オーディオ製作、プログラミングに明け暮れる

大和雅之教授

私は東京の出身で、東京タワーがある港区の芝というところに4歳のときまで住んでいました。地上げにやられて今はビルになっていますが、そのころもコンクリートとアスファルトとプラスチックと金属に囲まれていてまったく緑のないところだったので、ほとんど家の中で遊んでいました。SPの蓄音機をかけたり、電気式蓄音機なんていうのも家にあったのですが、まだ子どもだったので小さい安いヤツを買ってもらって、自分でかけて聞いていました。
4歳のときに世田谷区の深沢に引っ越しました。近くに都立園芸高校があって、10万㎡もある敷地に人工的な森とか川とかが流れているのですけど、これが区民に開放されていまして、自由に出入りができるんですね。ここで6年間昆虫採集に明け暮れていて、図鑑を買ってもらって、本に載っている虫とか植物がいないかと探しに行ったりして遊んでいました。
10歳から同じく世田谷区の用賀に引っ越すんですけど、ここではインドア派で、プラモデルを買ってきてはつくっていました。12歳ぐらいからは音楽が好きだったので、ベニヤ板を買ってきて自分でスピーカーをつくるのが個人的にブームになっていました。このころ、未曾有のオーディオブームで、ラムダコンデンサーという特殊なコンデンサーを使ったすごいアンプがあって、これを友だちと一緒に買いに行って、みんなで分けて、自分の持っているアンプのコンデンサーに搭載するというようなことをやっていたものです。

中学1年生のころ

中学1年生のころ

高校に入ると、受験勉強に使うからとか言って母親からプログラム関数電卓というのを買ってもらって、授業そっちのけでずっとプログラムを書いてました。そのころからLP収集が本格化し、母親から弁当用に朝500円もらって、4日食べないと2000円たまる。すると秋葉原でドイツやオランダからの輸入版が2000円で買えるんですね。当時、国内版は2500円しました。これを買ってきて、ライナーノーツが全部英語なので、この英語を読むというので英語を勉強しました。
東大に入ってからは、合格祝いに当時のNECのコンピュータでプリンターを含めると100万円ぐらいするのを買ってもらって、これで遊んでました。東大の計算機センターに大型の機械がありまして、これを使っていろいろプログラミングもしていたのですが、このころまではまさかバイオとか医学にいくとは思っていませんでした。

コラーゲン研究から細胞シート研究へ

大学1~2年のとき、映画の「ブレードランナー」を見てびっくりしました。それまでのロボットは鉄腕アトムとかマジンガーZとか全部歯車で動いていたのに、これはタンパク質とDNAと細胞でできている。これを見て、こういうのをやりたいと思ったんですね。
大学4年になって卒業研究に何をやるかという段になって、一番仲のよかったヤツが「この先生のところに行く」というから、「じゃあ俺も一緒に行く」とまったく主体的でなく行った研究室でコラーゲンの研究を始めました。そのころ書いた論文のベースになっているのは、MITにいたユージン・ベルという先生の研究で、コラーゲンのゲルの中に細胞を入れて培養すると組織そっくりの構造ができるというものでした。この人は培養人工皮膚とか培養人工血管をつくって、最終的にオルガノジェネシスという会社を自分で興して培養皮膚を売り出した人です。
当時読んでいた論文にたびたび出てくるのが「ティッシュエンジニアリング」という言葉でした。これは「組織をつくる」という意味です。いろんな雑誌で「ティッシュエンジニアリングというのはすごい」というように取り上げられまして、私もこの分野に入っていき、細胞シートの開発へと進んだわけです。

口腔粘膜から採取し培養した細胞シート

口腔粘膜から採取し培養した細胞シート

細胞シートを使って、これまで角膜や食道、心筋、歯周組織、軟骨などで実際の患者さんに再生治療を実施しました。食道がんの再生治療の臨床研究は2008年から女子医大でやっていまして、非常にいい成績なのでスウェーデンデンのカロリンスカ研究所と提携しました。2年間かけて技術移転をやり、組織培養の仕方、移植の仕方を教えて、去年の12月にスウェーデンで1例目を実施し、その後今年3月には4例目の手術が行われています。
もしみなさん再生医療に興味を持ったら、『おしゃべりな細胞たちー再生医療入門』という僕の書いた本をぜひ読んでください。

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