中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

3月16日&17日に最新の科学・技術を青少年にアピールする「科学・技術フェスタ」に出展! 17日は、再生医療の最先端で活躍する研究者によるパネルディスカッションを開催

ディスカッション

3Dプリンターで三次元構造の臓器がつくれる?

高校生
(男子)
CTでスキャンして撮った臓器の画像を使って3Dプリンターで印刷するときに、インクとして細胞外マトリックスの細かい粒を使えば、自分のものと同じ骨組みができて、そこにiPS細胞からつくった自分の細胞を浸潤させれば、三次元構造の臓器をつくることができると思うんですけど、どうですか?
仲野
ラットの肺をとってきて、細胞成分を完全に壊して細胞外マトリックスだけにして、気管の細胞、肺胞の細胞と血管の細胞を入れて肺をつくることにはもう成功していて、2年ぐらい前に論文が出ています。もうちょっと進んだらあなたがいうような三次元プリンターも、決して夢物語ではなく、原理的には可能でしょう。ただ難しいのは、ラットぐらいの大きさの肺はできるけど、人の大きさの肺ができるかと言われると僕は極めて難しいと思います。原理的に可能というのと、臨床的に可能というのはかなり違っていて、実用化できるかどうかとなるとまだクエスチョンマークかなというところだと思います。
大和
大和
天ぷらとか食べるときに、かき揚げってあるでしょ。タマネギとかムキエビなんかが入ってるよね。あのタマネギとかムキエビの具が細胞だと思ってください。天ぷら粉のところが細胞外マトリックス。細胞外マトリックスばっかり、つまり天ぷら粉ばっかりだったらおいしくないよね。エビとかタマネギがいっぱい入っているからおいしいんだよね。僕らの臓器も、骨とか軟骨は天ぷら粉がいっぱいなんです。だけど、肝臓とか心臓とか腎臓とかというのは、具ばっかりなんだよね。
三次元プリンターはどうしてもつなぎの部分が必要だから、天ぷら粉が必要。でも、今の三次元プリンターは天ぷら粉ばっかりで、ほとんど細胞が入っていないような状態なのね。だから軟骨とか骨とかにはいいかもしれないけど、細胞がメインの臓器では今の技術ではまだまだ難しくて、将来もっといいつなぎの新しい天ぷら粉ができない限り、なかなかできないと思います。ぜひそういう研究をしたらいいんじゃないでしょうか。
田畑
田畑
その天ぷら粉をつくる材料を考えると、まず生物の人が体の中の天ぷら粉とは何かというのを調べてくれて、適した材料が見つかったらそれと同じようなものを工学の人がつくっていきましょうという話なんですね。あなたは非常にいいことを言っていて、仲野先生が言われたみたいに肺とか心臓でももうできているんですね。ところが実際に心臓ができてもやっぱり問題がある。どんなことかというと、最初にまず細胞を抜きますよね。そこにもう1回細胞を入れても、元のところにくっつかないんです。それでくっつくような接着剤がほしい。それと分厚い臓器になっていくと、血管が縦横に走っているわけだけど、それをつくる技術がまだない。その技術がないから、理屈ではできても、1日置いたら細胞が全部死んでしまう。
一方でiPS細胞はもっと元気がいいからいけるんちゃうかという話だけども、iPS細胞でも能力は非常に高いんけれど、酸素がなくなったら死んでしまう。そのへんの技術開発というのがものすごく大切やと思います。
僕らも一生懸命考えてるけれど、なかなかいいアイデアがないんやね。だから君らのような若い方が来てくれて、「先生、こんなんおもしろいとちゃうか」と言うてくれることを期待しています。
高橋
3次元の人工網膜組織はできています。血管が問題なので、血管がなくていい500ミクロンの薄さのものであればマウスとか人の多層構造の網膜はもうできてきていて、それが去年の『ネイチャー』に載った初めての立体の組織ですね。それは細胞が勝手につくっていくんです。そういう方法がもうそろそろでき始めています。
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