中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

「サイエンスカフェ2015」レポート 細胞シートや模擬人工心臓づくりを 最先端の医工連携施設で体験

参加した高校生たちの感想から

※寄せられた感想の一部を抜粋したものです

進路に悩む自分の考えが大きく変わった2日間

鳥取県立米子東高等学校(K・H 女)

私が今回このサイエンスカフェに参加した一番の理由は、将来の進路を決めるヒントを得たかったからです。医療の分野に興味はあるけれど、具体的にどのような職に就くのか、どのように医療に関わっていきたいかなど、自分でもさっぱりわからなくなっていました。そんな時にサイエンスカフェのことを知り、医療に対していろいろな方面から関わっている実際の現場を少しでも体験できたら、進路決定に何かヒントになるものが得られるのではないかと考え、応募しました。
初日の講義では、興味のあった細胞シートに関連したお話が聞けてとてもよかったです。また、若手研究者の方々の話を聞いて、こんな生き方もあるんだなと思いました。皆さんそれぞれ違った立場・経歴の方でしたが、根っこのところではどの方の言っていることも共通しているように感じました。私も将来、あんなふうに自分のやってきたことや、やっていることを生き生きと語れるようになりたいなとも思いました。
2日目の実習は、一番興味のあった温度応答性材料と細胞シートの実験からでした。自分なりに調べたりもしていたので仕組みがよくわかり、とても面白かったです。細胞シートを実際に手の上に移すときは、想像していたよりもずっと難しく、これを手術等で扱っている人たちは本当にすごいんだなと実感しました。
まだはっきりとは進路も決まっていませんが、自分の考え方や意識が大きく変わった2日間でした。

「小さな失敗」も許されない責任の重さを学ぶ

和歌山県立向陽高等学校(N・K 男)

1日目の2人の先生の講義、若手研究者の話、どれも具体的でとても興味を持てました。
「細胞シートで臓器をつくる」というのはすごい発想だと思いました。以前から細胞シートには興味があったので、詳しく知ることができて嬉しかったです。
2日目のTWInsではさまざまな場所の見学と実習がありましたが、特に大動物実験室での実習が印象的でした。自分は医師を目指しているので学校の図書館にある医療系の本を読んだりします。手術の方法を書いた本にあった縫合術を自分で試したりしたこともあります。今回の実習では縫合術と内視鏡の操作をやりました。ドラマ等を見るとすばやくやっているけれど、どちらもとても難しかったです。もしこれが本当の患者さんだったらと考えると、とても恐ろしい気がしました。縫った糸はほどけるし、内視鏡は思うように動かせない。医療行為のすばらしさと同時に怖さを知りました。自分の行為によって救える命。だからこそ「ミス」や「小さな失敗」さえも許されない、責任ある仕事だと感じました。
今までの自分は、人を病や苦痛から助けて笑顔にしたいという気持ちだけでした。しかし、今回のサイエンスカフェを終えてからは、その責任の重さを直に感じ、しっかりした人間にならなければいけないと思いました。

心筋シートの移植で元気になった患者の姿に感動

山形県立鶴岡南高等学校(I・M 女)

今回のサイエンスカフェで特に印象に残っているのは「細胞シート」です。私は幼いころから医療に興味があり、医療に関係するテレビ番組やドラマをよく見ていました。ドラマの中で「心筋シート」を使うシーンを見たことがあります。心臓移植をしなければ助からないと思っていた患者さんが薄いシートで治る。それは私にとって大きな衝撃であり、夢のような話でした。そのシートを自分で作ることができるサイエンスカフェを私はとても楽しみにしていました。
1日目の清水達也先生の講義はさらに私を驚かせました。ドラマの中で超最新技術として行われ、夢のような話だと思っていた「心筋シート」が実際に日本の医療現場で使われたことを知ったからです。重い心臓病で人工心臓をつけて入院生活を送っていた男性が「心筋シート」を貼る手術によってとても元気になり、退院できるようになった姿に私は感動しました。また、この細胞シートを重ねて、臓器を作るというお話はとても興味深かったです。2日目に実際に細胞シートを扱ったことで、「こんな薄いシートで病気が治り、さらには臓器を一から作れるかもしれない。すごい!」と思いました。
細胞シートだけでなく、TWInsでは実際の研究現場を見学したり、人工心臓の作製、縫合体験、胃カメラの操作、さらには全国の高校生との交流によって、多くの刺激を受けました。私も将来、日本や世界の医療に貢献したいと強く思いました。

将来について悩む今だからこそ参加してよかった

京都府立嵯峨野高等学校(T・T 男)

自分の将来の夢というものは一応決めていますがまだ確定はしていなくて、漠然とした不安もかかえており、将来について悩む日々を送っています。そんな中でサイエンスカフェに参加し、講義、実習を通じて少し将来のイメージ像をふくらませることができました。
1日目の「若手研究者に聞く」では、研究者たちがどんなライフスタイルを送っているのか、研究の道に進んだ動機は何だったのかという自分に興味のある話題に触れてもらい、大変参考になりました。また、2人の先生の講義では、最先端の内容についての話があり、知らないことがどんどん出てきましたが、日本の医療のレベルの高さにとても驚きました。また、講師の先生に質問したのに対して「たゆまぬチャレンジが夢を実現する」と答えていただき、その言葉が今の自分を支えてくれています。
2日目の実習では、人工心臓モデルを製作し、実際に使う体験が一番印象に残りました。心臓は一定のペースで一生働き続けていると思うと、ただただすごいなと思います。
将来について悩んでいる今だからこそ、このサイエンスカフェに参加した価値があるし、本当によかったと思います。

もっと先のことまで役立つ体験でした

埼玉県さいたま市立大宮北高等学校(H・O 女)

私がサイエンスカフェに参加したのは将来について迷いがあったからです。幼いころから将来は医者になりたいと思っていました。しかし、中学、高校と上がってきて、自分が本当に医者になりたいのか、ただ幼いころの思いにとらわれているだけなのか、分からなくなってきました。進路は今のところまだ医学部ということになっているのですが、もやもやしたままだと受験勉強に身が入らないし、応援してくれる親や先生にも申し訳ないと思っていました。そこで今回、参加すれば一緒に参加した他校の人や、先生方、講義の内容などから何か得られるのでは、と思ったのです。
2日間かけて行われた講義や実習はとても興味深い内容でした。1日目の講義は話自体が難しく頭がパンクしそうだったけれど、それぐらい簡単に理解できる分野ではないことが改めて分かりました。2日目の施設見学と実習は初めての体験でした。皮膚の疑似モデルを使った縫合体験や、胃カメラの操作体験が特に記憶に残っています。最後に行われた自由討論では、自分の聞きたいことが聞けてよかったです。ほかの人の質問や、それに対する先生方の答えを聞いて、「ああ、そういう考えもあるのか」と新しい発見がたくさんありました。
2日間は初めてのことだらけだったけれど、医療系の道に進む、ということが少しだけイメージできた気がします。今回参加して得たものは、大学受験だけでなく、もっと先のことまでも役に立つのではないかと思います。

若手研究者の研究・生活ぶりを身近に感じた

石川県立小松高等学校(M・T 男)

まず1日目、岩崎先生や清水先生の講義を聞いて、日本の最先端の技術である医療工学と医学が結びついて、今まで治療できなかった病気や組織の再生が可能になったことを知ってとても驚きました。次に若手の研究者の話を聞いて、どんな研究をしてどんな生活をしているかなどを身近に感じることができたし、自分のやりたい研究に向かって時には思うようにいかないことがあっても仲間とともにがんばっていることを知り、今後の参考になりました。
2日目のTWInsの施設見学では、高校ではもちろん、普段見ることができないような装置が数多くあり、いろいろな分野の人が関わり、意見や答えを共有し合うことで高度な研究を行っていることがよくわかりました。また、実習での手術用具を使った縫合体験はなかなかうまくできず、何度も練習することで先生のように速く正確にできるようになるんだなと思いました。簡易型の人工心臓を作って試したときには、本物の心臓にはとても及ばず、改めて心臓の凄さに驚き、細胞シートを用いた実習では扱い方が難しく時間がかかりましたが、実際の作業の現場ではより精密に行ったり、無菌状態にしたりして培養の途中で問題があってはいけないことの大切さを感じました。
振り返ると、医療について多くのことを学べた2日間でした。特に岩崎先生、清水先生、そして4人の若手研究者の方の話は自分にとって忘れられないものとなり、今後の進路への大きな参考となりました。

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