中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

「サイエンスカフェ2014」レポート 再生医療や人工臓器など 生命科学研究の最前線に興味津々!

参加した高校生たちの感想から

※寄せられた感想の一部を抜粋したものです

「拍動する細胞シート」に声を上げるほど感動

愛知県立岡崎高等学校(M・S 女)

私がこのサイエンスカフェに参加した理由は、将来の進路に迷っていたからです。中学のころから獣医になりたいと思い続け、念願のSSH指定高校に入学できたものの、そこからの具体的な道は見つからず、途方にくれていたところ、今回のサイエンスカフェに出会い、自分の進路の視野を広げることができました。
1日目の4講義は、短い時間の中に最先端の医療技術が凝縮されたものでした。理解しやすい表現や写真が使われた資料、ノートに記録する手も止まるほど目を奪われる映像や、講義をしてくださった先生の体験に、ただ圧倒され、引き込まれるばかりでした。「細胞シート」についての講義で「拍動するシート」を見たとき、思わず声を上げてしまうほど感動したり、先生方のお話の中に医療や科学の奥深さを感じることができたりしました。
2日目の実習では、前日の講義で紹介された最先端技術が目の前に広がっていました。縫合手技の体験、手術支援ロボットの操作、細胞シートの培養・移動操作など、貴重な体験をすることができました。一番心に残っているのは人工心臓モデルの作製です。ガチャポンの容器から、1分間に4~5ℓの血液を運ぶ自分の心臓と同じ能力を持つ人工心臓が作れたことに驚きました。
講義や実習はもちろんのこと、全国の高校の仲間と楽しみながら将来の夢への道を模索することができ、充実した2日間でした。

注=SSHはスーパーサイエンスハイスクールの略。

講義を聞いて抱いた「もっと知りたい」と思う気持ち

山梨県立日川高等学校(T・I 男)

私は将来、薬剤師の資格を取得して新薬の開発に携わろうと考えています。そのことを知っていた化学の先生から勧められ、興味を持ったのでサイエンスカフェの参加を希望しました。いろんな先生の講演、TWInsの施設見学、縫合の実習などとてもいい経験を積むことができたと思います。
その中でも一番強い関心を持ったのは1日目の加藤尚志先生の講義です。高校で物理を選択している私にもとてもわかりやすい説明でした。カエルの血中の赤血球濃度が変化している理由はとても驚かされて「もっと知りたい」と強く思うようになりました。その時感じたいくつかの疑問は早稲田大学の坂口先生(2日目の実習を指導)を通じて加藤先生に答えていただいています。そのやり取りは今でも続いていて「サイエンスカフェに参加して本当によかった」と思える一番の理由です。
私たちの学校はSSH指定校で、さまざまな施設を訪問していますが、その中でも1、2を争うぐらいの充実度でした。これほどまでに楽しい2日間を提供してくださり、本当にありがとうございました。

衝撃的だった覚醒下脳手術についての講義

山形県立米沢興譲館高等学校(K・O 女)

講義の中で特に気になったのは村垣教授のお話に出てきた覚醒下手術でした。頭を手術しているのにもかかわらず、その患者さんと医師が会話をしているというのがとても衝撃的でした。他にも術中MRIやナビゲーション、さらには手術支援ロボット・ダヴィンチなど、現在の最新医療ではこんなにさまざまなものを用いて手術がなされているのかと驚くとともに、医療と工学の結びつきは想像していた以上に強いのだと気づかされました。
また、清水教授が講義された再生医療についても、細胞シートは既に臨床で実施されており、臓器そのものの再生さえも可能かもしれないとのことで、飛躍的な医療の進歩を感じました。
2日目の実習では、1日目の講義の内容を振り返りつつ細胞シートや人工心臓の作成をしました。細胞シートはこんなに薄いけれどこれが傷を治してくれるのか、また人工心臓の動きを見ながら、私たちの心臓はこんなに頑張ってくれているのか、ダヴィンチや内視鏡の操作は思ったよりも難しいなど、実際に目で見て体験して初めて感じることがたくさんあり、とても楽しみながらの実習となりました。
また、いただいた資料の中の2冊の本を帰ってから読んだらとても分かりやすく、再生医療やその研究などに対する興味がますます高まりました。

注=2冊の本『いのちの不思議を考えよう』『最前線の生命科学者が語る やっぱりすごい!日本の再生医療』(いずれもテルモ科学技術振興財団「生命科学DOKIDOKI研究室」監修)

記憶に残った“最先端技術は不可能に挑戦した科学者たちの産物”という言葉

東京韓国学校(D・H 男)

僕は女子医大病院や科学未来館などでボランティアをしていたが、実験などをする機会は なかった。先生からサイエンスカフェに参加してみろと勧められたときは、二度とない機会が来たと感じた。参加して感じた一番大きなことは、科学は楽しいということだった。 細胞シートに関しては以前、学校の講義で聞いたことがあったのである程度は知っていた。しかし、講義で聞くのと実際に細胞シートを見ることとは大きな違いがあった。学校の生物の時間は教科書を使って授業をするので理論が中心だが、理論で学んだことを直接目で見るのはすごく新鮮だったし、結構、感動した。また、先端医療に興味を持っている同じ年ごろの友達にもいっぱい会うことができた。友達は西は九州、東は山形まで日本全国から来ていて、いつも東京の子しか見たことのない僕にはすごくいい体験だった。
サイエンスカフェで僕の記憶に鮮明に残っているのは“今できている先端技術は不可能に挑戦した科学者たちの産物”という言葉だ。どのくらい時間がかかるかはわからないが、いつかはできるという信念をもって努力すれば結果はついてくる、ということをサイエンスカフェは教えてくれた。

看護科志望だったが、外科医になりたくなりました

福井県立高志高等学校(U・M 女)

参加募集を見つけたときは看護科を志望しており、再生医療に関する知識をつけたい、医療系をめざす同世代の人たちと意見交換をしてみたいという思いから応募しました。
私は国内医療というよりも海外医療をめざしており、青年海外協力隊や国境なき医師団で医療活動をすることを夢みています。貧しい地域での医療活動では最先端医療よりも基礎医療などが多く求められるため、正直今回のサイエンスカフェが私の将来にそれほど大きくかかわるとは思わず、勉強の励みになるだろうと考えていました。しかし、それ以上のものがありました。
初日の講義では、あまり知らなかった研究者や研究を人生にされている方のお話をきいて、いろいろな衝撃をうけました。全く興味のない、行こうとも思っていなかった分野に進んで成功したり、嫌だと感じていたことをなくすために新しく開発されたり。とても新鮮で今までにふれたことのない世界であり、少し研究者に憧れを抱きました。
2日目のTWInsの大動物実験室での実習で私にとって大きな事件がおきました。縫合体験で傷を縫い(モデルですが)、それで人を助けられると実感し、言葉で表せないような感動がありました。外科のドクターが「上手い」とほめてくださり、「どう、外科医にならない?」といってくださいました。冗談なのでしょうが、それでも私の感動とときめきは変わらず、外科医になりたいと思うようになりました。
今回の参加で、自分のなかで思いがけないほどの変化がありました。こんなすばらしい機会を与えてくださり本当にありがとうございました。

医学・化学・工学の密接な関わりを実感

静岡県立磐田南高等学校(N・H 女)

講義では、覚醒下脳手術と細胞シートが特に印象的でした。
意識がある状態での脳手術には抵抗を持つ患者は多いと思いますが、患者のダイレクトな反応が安全かつ正確な腫瘍除去につながるという事実を多くの人に知ってもらうことで、この手術法がもっと広まるといいなと思います。
細胞シートに関しては、お話を伺う前は細胞を培養し薄く広げただけのものなのかと思っていました。しかし、培養皿として温度応答性という化学的性質を利用していたり、細胞に栄養を与えるための血液循環の仕組みが必要であったりと、医療には生物だけでなく化学や工学も密接に関わっており、それらの知識・技術を統合させ、試行錯誤することで初めて人を救う夢のようなテクノロジーが現実のものになっていくのだということを実感しました。
TWInsの施設見学では、研究所というものの内部にきちんと入って見学したのが初めてだったので、普段、研究員の皆さんがどのような環境で専門分野を研究しているのか、また、1つ1つの部屋の設備にはそれぞれどんな意味があるのかなど、詳しく知ることができて面白かったです。
実習では、1日目に仕組みを学んだ細胞シートをこの手で操作し、理論だけではなく実際に扱うことの難しさを体感しました。シートがうまく広がらなかったり、支持膜に接着しなかったりと、とても苦労しましたが、このような1つ1つのステップを乗り越えていくことが実用化にむけて重要なことなのかなと思いました。

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