中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

「サイエンスカフェ2014」レポート 再生医療や人工臓器など 生命科学研究の最前線に興味津々!

[2日目]いよいよ班ごとの実習開始

施設見学のあとは、サイエンスカフェのメインプログラムの実習がスタート。プログラムは(1) 大動物実験室見学・実習、(2) 簡易型人工心臓の作製、(3) 温度応答性材料の実験と細胞シート操作の実際の3つ。

大動物実験室見学・実習

3億円もする手術支援ロボ「ダヴィンチ」

今年、新たに実施された実習は、大動物実験室での「手術支援ロボットの操作体験」だ。
腹腔鏡下手術など内視鏡下での手術を支援する、米国Intuitive Surgical社から販売されている「da Vinci(ダヴィンチ)」というロボットの訓練を生徒たちが体験するのだ!
腹腔鏡下手術とは、従来一般的だったメスでおなかを開けて臓器を切除したり、病巣を取り去ったりする開腹手術にかわって広まってきた手術で、おなかに数カ所の穴を開けて、そこから中の様子を見るカメラと、鉗子を挿入して行う。患者さんの負担が小さいうえ、手術のあとが目立たなくなるメリットがあるが、開腹しないためおなかの中を肉眼で見ることができない。そこで腹腔鏡(内視鏡)で写し出される映像を見ながら手術するのだが、カメラや鉗子を操作する高度な技術が必要で、外科医ならだれでもできるというものではなかった。
その高度な手技をロボットを活用して行おうというのが「ダヴィンチ」。手術を行うのはあくまで医師で、医師がロボットを遠隔操縦して手術するわけだ。ロボットは、難しいカメラや鉗子の操作を正確に行えるようアシストしてくれる。最近は腹腔鏡だけでなく、肺がん手術などの胸腔鏡手術に使われたりしているという。
ダヴィンチは、ロボットアームを伸ばしてメスや鉗子を動かすロボット本体と、手術を行う医師が座る操作台、助手用のモニターなどで構成されており、「システム一式で約3億円します」との説明にみんなびっくり。
ダヴィンチの特徴の一つは、操作台の画面を通して手術する部位が肉眼で見るように立体的に、3D画像で見えること。しかも、最大約10倍のズーム機能により、手術部位を拡大してとらえることができる。
ロボット本体には3本のアームと1本のカメラが装着されている。アームは多関節になっていて、人間の手首と同じように自由に動くのも利点。手ブレ補正の機能もついていて、手先の震えが鉗子の先などに伝わらないようにしてくれるので、高い集中力を必要とする細かな作業も正確に行えるのだ。

ロボットアームの動きをゲームで体験

実習は、操作台に座ってのロボットアームの操作体験。といっても、実際にアームを動かすのではなく、操作訓練用につくられたゲームを画面の中で楽しむのがこの日の実習。実際に医師が行う訓練も、まずは慣れることが大事だから入門編としてゲームを通じてロボットアームの動きをシミュレーションするのだとか。

まず、操作台に着席する。実際の手術では、足元のペダルを踏むと電気メスが通電する仕組みになっている。
「マスターコンソール」と呼ばれる左右の器具を両手の親指と人指し指でつまみ、3D映像がよく見えるよう画面に額をくっつける。映像を見ながら、指を動かして左右のロボットアームを操作する。

練習用シミュレーションの画面にあらわれたのは、赤、黄、青のお皿で、手前にテトラポットがいっぱい落ちている。これをつまんで入れる作業をするのだが、終わると点数が表示される。手に無駄な力がかかったりするとたちまち減点。それでも、高校生たちがチャレンジすると86点(%で表示)、89点とかなりの高得点で、中には94点という人もいた。みなさん外科医の素質がありそう。

このほか縫合の操作をしたりしたが、針を刺したり、糸を結んだりするのがなかなか難しく、それでもみんな果敢にチャレンジしていた。

胃カメラの操作と縫合体験

大動物実験室では、胃カメラの操作や、手術器具を使っての縫合体験も行った。胃カメラの操作は、ホンモノそっくりにつくられた上部消化管の模型を使って、実際に医療現場で使われている内視鏡を操作してポリープなどを観察し、写真を撮影。縫合手技の体験では、皮膚の疑似モデルを使ってパックリ開いた皮膚を縫い合わせる。医療現場で実際に行われている縫合処理の体験に、みんな黙々と取り組んだ。

簡易型人工心臓の作製

簡易型人工心臓の作製を指導してくれたのは早稲田大学の梅津研究室のメンバーたち。
どんな人工心臓かというと、何と“ガシャポン人工心臓”。オモチャ屋さんの店先でよく見かけるガシャポンのカプセルを使って、ホンモノと同じ働きをする人工心臓をつくり、どれだけ血液を送り出せるかの実験をする。 人間の心臓は、1分間に4.5リットルの血液を約160㎝の高さまで持ち上げる力があるという。そこで、血液の代わりに水を使って、“ガシャポン人工心臓”に空気を送り込んでどれだけ高いところまで水が届くかを実験。一生懸命空気を送り込んでも、せいぜい2リットルとか3リットルで、あらためて「人間の心臓って、スゴイ!」を実感した。

※簡易型人工心臓の作製については去年のレポートも参照してね。

パーツを受け取って、さっそくガシャポン人工心臓づくり。材料はチープだけど、原理は高性能の人工心臓と同じ。組み立てたら結束バンドでしっかり止める

ガシャポン人工心臓は、どこまで血液を持ち上げるチカラがあるんだろう?シリンジを動かし、1分間で送り出す水の量を測った

臨床で使われている人工心臓や拍動の力について説明を受ける

梅津先生も生徒たちの実習の様子を見ながらアドバイス

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