中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

「サイエンスカフェ」レポート 高校生が最先端の生命科学に触れた一日

参加した高校生たちの感想から

※寄せられた感想の一部を抜粋したものです

縫合体験で知った手術の大変さ

岩手県立釜石高校(T.K 男)

2日目に3つの講義を受けましたが、その中で私が最も興味が持てたのが「細胞シート」の話でした。体の一部分の細胞を取り出し、それを増やし、機能が低下している部位に貼るだけというので驚きました。その過程には、温度応答性培養皿による細胞シートの作製など、さまざまな技術が詰まっているんだなあと思いました。その後の実習や施設見学では、講義とはまた違った面白さがありました。細胞シートを作るのに無菌装置を使っていたり、とても高額な人工心臓を見たり、今まで見たこともないものを見学したと思えば、人工イクラを作るときのようなアルギン酸のゲル化といった身近にあるものも見学して、今まで知らなかったことに触れることができたし、少し知っているようでも原理など詳しくは知らなかったことも理解できて、とても満足しています。実習で一番貴重な体験だと思ったのは、手術器具を用いての縫合体験。U字型の針を用いることや、器具を使ってみることで、少しですが手術がどんなに大変なのか、学ぶことの多い体験でした。

人間は細胞シート何枚分だろうか?

岩手県立宮古高校(M.K 女)

私は将来、臨床検査技師になりたいと考えており、今回の体験はとても興味深いものばかりでした。講義では細胞シートに関心を持ち、実習でも細胞の培養を体験することができました。温度を変えるだけであっという間に細胞が増え、膜状になりました。細胞の成長は著しいと思いましたが、同時に、人間は細胞シート何枚分なのか? という疑問も浮かんできました。本当に細胞シートに興味を持ったので、今後詳しく調べようと思っています。2日間の体験で、最先端の医療にしていくためには、医者、エンジニア、研究者など、いろいろな人たちが協力し合って、知恵を出し合っていくことが大事だということを学びました。私は物理ではなく生物を選択しているので、医療機器には携われないのではないかと勝手に思っていましたが、その考えは違うということに気づきました。今の医療は単独では成り立たない。今回の体験を通して、私は将来、医療の道に進もうと強く思うようになりました。そして、社会に貢献したいです。

「医学」でもなく「工学」でもない「医工学」って?

宮城県立仙台第二高校 (K.M 男)

「医工学」という分野は正直、自分にとってナゾの多い分野でした。「医学」でもなく「工学」でもない「医工学」とはどういうものなのか、そして、それが世界でどんな風に役立っているのか知りたくて応募しました。今回のプログラムを通して分かったことは、私たちが使っている体温計、胃カメラ、CT、エコーなどは、医工学の技術が生み出したものだということです。現在、世界中に「名医」と呼ばれる人が大ぜいいます。そして、重い病気が治ったり、難しい手術が成功したりしたときには、その「名医」だけにスポットが当たっているような気がします。しかし、その医師が使っているメス、胃カメラ、CT、エコー、すべて「医工学の技術」が生み出したものです。この2日間を通して私は、その重い病気の治療や難しい手術の成功は、「医師の技術」と「医工学の技術」、そしてその他大ぜいの医療関係の人たちの技術が上手くかみ合ってできるのだということに気づきました。これから病院に行って診察してもらうときには、医師だけでなく、それにかかわるすべての方に感謝したいと思います。

わくわくしながら参加

宮城県立気仙沼高校(K.O 女)

もともと医学など体についてとても興味を持っていて、将来、助産師になりたいと思っています。そのような中で助産関係というよりむしろ外科関係の実験を多く行うことに、わくわくしながら参加しました。梅津先生の講義は、動画と先生の話し方から、すぐに話に引き込まれてしまいました。先生の話で特に印象に残ったのは「関係があるかどうかではない。いかにこじつけるかだ!」という言葉です。とても前向きな言葉で、「何でも挑戦しろ」と言われているような気がしました。新しいものを作るためには、どんどんチャレンジすることが大切であり、私の前にある閉じられたドアを開ける鍵となる言葉だと思いました。「関係がないから・・・」と逃げようとしていたことにも何かしらの意味や意義がある・・・。このことに気づけて、本当によかったと思います。「はっ!!」としたことや、学んだこと、刺激になったことがたくさんあり、充実した2日間でした。ここで得た多くのことを未来の自分が誰かのために使えたら嬉しいです。

人の命にかかわるところでの予測・評価の大切さ

福島県立磐城高校(R.K 男)

2日目は朝から講義があり、このうち笠貫先生の「今、なぜレギュラトリーサイエンスか」のお話を聞いて、評価・予測はとても大切であるということがよくわかりました。医療という、人の命が関わり、ミスが許されないところでは、それがとても重要なことなんだなと思いました。実習では、細胞培養や細胞シートの扱い方、インテリジェント材料という温度などによって変化する物質の観察、プロジェクターを用いた微細加工技術であるフォトリソグラフィーの体験、内視鏡の操作、手術器具を用いての縫合体験などのほか、超音波検査装置やCT、MRIの仕組みを理解し実際に触れることもできました。中でも興味をひかれたのはインテリジェント材料の観察・体験で、アルギン酸を塩化カルシウム溶液に落とす実験でした。これは人工イクラなどを作る際にも用いられる技術で、とてもおもしろいと思いました。この2日間の体験で、医療にも、工学にも興味を持つことができ、今後の活動に生かしていけたらと思っています。

研究者の情熱を感じ「すごい」がもっと奥行きのある「すごい」に

福島県立福島高校 (Y.K 女)

私はサイエンスカフェに参加するまで、再生医療について興味はあったものの、あまり深いことは知らず、「すごい技術があるんだな」ぐらいの意識しか持っていませんでした。しかし、今回の講義や実習を通して、再生医療や医工連携の分野に注がれている研究者の方々の情熱、社会への貢献度の大きさを間近に感じることができ、同じ「すごい」という感覚でも、以前より奥行きのある「すごい」に確実に変化しました。私にそのような変化をもたらした要因の一つとしては、やはり最初の岡野先生の講義が挙げられます。再生医療についての情報が乏しかった私は、細胞シートという呼び名も初耳に近い状態にありました。ですが、岡野先生の講義を聞いて、iPS細胞やES細胞のさらに先を行く医療技術であることを知り、感銘を受けました。特に印象的だったのは、手術時に細胞シートを臓器に貼り付けると、後は大きな処置を加えなくても治癒していくということです。また、血管網を作りながら細胞シートを重ねていくと、厚みのある組織も作れるようになるということで、倫理的なことはいつも隣り合わせであることを感じるとともに、改めて生命の奥深さを学ぶことができたと思います。

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