中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

「サイエンスカフェ」レポート 高校生が最先端の生命科学に触れた一日

レギュラトリーサイエンスって何だろう?

最後は、早稲田大学理工学術院教授・東京女子医科大学・早稲田大学共同大学院教授で日本医療学会代表理事でもある笠貫宏先生による「今、何故、医療レギュラトリーサイエンスなのか-21世紀における科学技術と人・社会の新たな関係の構築に向けて-」の講義。

そもそも「レギュラトリーサイエンス」とは何か。2011年8月に閣議決定された「第4次科学技術基本計画」によれば、「科学技術の成果を人と社会に役立てることを目的に、根拠に基づく的確な予測、評価、判断を行い、科学技術の成果を人と社会との調和の上で最も望ましい姿に調整するための科学」とされている。

科学技術の成果を人と社会に役立てる、という命題を考える上で、決して忘れてはならないのが2011年3月11日の東日本大震災であり、福島第一原発の事故だ。
「原発神話はもろくも崩壊し、科学技術への信頼は大きく失墜し、科学技術とは何か、そして人間の幸せとは何かという文明社会への根幹が問われるようになっているその中で、重要性が増しているのがレギュラトリーサイエンスなのです」と笠貫先生は語る。
笠貫先生によると、ますます重要性を増してくるレギュラトリーサイエンスであるが、サイエンスとしての学問体系はいまだ確立していないという。
笠貫先生が考える医療レギュラトリーサイエンスとは、21世紀における健康医療に係わる先進的科学技術(医薬品・医療機器・再生医療)と人・社会の調和・調整を図り、真の人類の利益・幸福をもたらすための評価・予測・意思決定科学であり、自然科学と人文社会科学の新しい融合・創造科学であるという。
講義の最後に笠貫先生は次のように結論づけた。
「科学技術には光と影があります。医療においても、これまでの薬害問題を真摯に受け止め、有効かつ安全な医薬品・医療機器を患者に提供するための科学として、今、レギュラトリーサイエンスは黎明期を迎えているといえます。わが国では科学評価・予測・意思決定というプロセスの確立とその過程の透明性・公開性も不十分であったと思います。少子高齢・人口減社会に突入し、財政緊迫下にある日本において、医療に限らず、エネルギー、食、環境など科学技術がかかわるすべての領域において、国民のためのレギュラトリーサイエンスの学問体系と人材育成は喫緊の課題であり、それにより、21世紀の日本の新たなグランドデザインが見えてくるのではないかと思います」

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