フクロウ博士の森の教室「からだを復元させる医療の話」

第26回 間葉系細胞って何だ!? 国立成育医療センター研究所 副所長 梅澤明弘先生インタビュー 多分化能を持つ間葉系幹細胞は再生医療期待の細胞

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梅澤 明弘(うめざわ・あきひろ)
1985年慶應義塾大学医学部卒業。89年同大学大学院医学研究科病理学専攻課程修了、同年同大学医学部助手、93年米国・ラ・ホヤ癌研究所研究員、2000年慶應義塾大学医学部病理学助教授、02年国立成育医療センター研究所部長、11年同センター副所長。

間葉系幹細胞は、私たちのからだに自然の備わっている体性幹細胞で、骨細胞、軟骨細胞、脂肪細胞や神経細胞、肝細胞など、さまざまな細胞に分化できるというので、再生医療で注目されている。まだ間葉系細胞が注目されていない今から30年も前から間葉系細胞の研究に携わり、医療現場や創薬にも活用できる細胞株を樹立したのが梅澤先生だ。間葉系細胞の特徴や、細胞株開発のプロセスなどをうかがった。

間葉系幹細胞の多分化能

───間葉系細胞は、どこから発生するんですか。

私たちのからだをつくっている筋肉や神経、血液、心臓、肝臓などすべての細胞は、外胚葉、内胚葉、中胚葉などの胚葉から分化してできてきます。間葉系細胞は、以前は筋肉や血管などが分化する中胚葉から発生していると考えられていましたが、最近の研究では神経や皮膚を分化する外胚葉から発生するという説も出されています。
いずれにしても、こうして発生した間葉系細胞は、私たちのからだの細胞と細胞の間にあって、コラーゲンなどを産出して細胞を支持する役割を持っています。その中の間葉系幹細胞は、「森の教室」でも話したように骨細胞、脂肪細胞、神経細胞などさまざまな細胞に分化する能力を持っているのです。

───間葉系幹細胞は、どのくらいの数存在するのですか。

間葉系細胞は、幼児期にはたくさん存在しているのですが、年齢を経るにしたがって減少していきます。これはあくまで推定値ですが、新生児では間葉系幹細胞は、骨髄にある細胞の数の1万分の1もあるのが、10代で10万分の1になり、30代で40万分の1、80代では200万分の1に減少するといわれています。
数は少なくなるけれども、どんな世代の人にも存在するのだから、たとえば骨髄から間葉系幹細胞を取り出し、これを大量に培養してその後で目的の細胞に分化させれば、再生医療の材料として医療現場で使うことができ、大きな可能性を持った細胞といえるでしょう。

───実際に間葉系幹細胞から各細胞にはどのようなプロセスで分化誘導させていくのですか

幹細胞というのは「自分自身を複製し、なおかつ多分化能を持っている細胞」であり、間葉系幹細胞も例外ではありません。間葉系幹細胞は、自己複製しながら、たとえば、骨芽細胞から骨細胞に、軟骨芽細胞から軟骨細胞に、前駆脂肪細胞から脂肪細胞にというふうにそれぞれの細胞に分化していきます。

───間葉系幹細胞はどのようにして患者さんのからだに導入するのですか。

間葉系幹細胞の特徴として、目的の細胞になる一歩手前の段階で患者さんの体内に導入してやると、体内で目的の細胞に分化して患者さんの悪い個所を治療する性質があります。たとえば、骨芽細胞や前駆脂肪細胞の段階で患者さんのからだに入れてやると、体内で骨細胞や脂肪細胞に分化して患部を治す働きがあるのです。

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